後日、おばあちゃんのことは一通り落ち着いた。

そして学校帰り私は青藍高校の前にいた。
全ては彼に会いおばあちゃんのことを知るため。

しかし他校に来るのは緊張する。
何回か深呼吸をし下校している生徒たちを見る。
彼の姿はない。

「もう帰っちゃったかな。」

ずっと校門の前にいても変な人だと思われてしまう。
そう思い今日は引き返すことにした。

「翔弥くん今日も遊んでくれないの?」

「たまには遊んでよー」

翔弥くん!?
振り返ると女の子2人に囲まれた翔弥くんの姿があった。
こんな漫画みたいな景色が本当にあるのかという衝撃。
でも彼はモテるであろう。

「ごめんね、今日もお店の手伝いがあるから」

少し困ったように笑っていたが彼はやっぱり優しいようだ。
周りの女の子も渋々離れて彼を見送った。

目の前の衝撃な光景にしばし呆然としていたが我に返った。

彼の背中はもう見えなくなりそうな距離だった。

私は走って追いつこうとしたが彼は急に立ち止まった。

「あ、翔弥くん…」

声をかけようとした時

「はぁ、だりぃな」

…今のは翔弥くんが言った?

いやいや、翔弥くんのはずない。
しかし声をかけられる雰囲気ではなくなった。

今はかけちゃいけない気がすると本能的に思ってしまった。
このまま気づかれる前に離れようかと1歩後ずさったが彼は振り向いた。

目が合ってしまい固まってしまう。
彼もびっくりしたように目を大きくした。

「優香さんなんでここに」

「こ、こんにちは〜。」

「さっきの聞こえてました?」

正直に答えるか迷う暇もなく勝手に首を縦に振っていた。

「……はぁっ、まじかよ。」

頭をかきながらため息をついていた。
そして私の方を軽く睨みつけ言い放った。

「お前絶対他のやつに言うなよ。つーかなんでここにいんだよ。まさか俺に惚れたか」

まさかの発言にさっきよりも衝撃を受けた。

誰だ、この人は頭の中はそれだけだった。
顔が似てる人?だとしたら納得はいく。
いや、そうであってほしい。

「あ、あの、人違いかもしれないです。」

「はぁ?そんなわけないだろ。じゃあ、なんで俺がお前の名前知ってんだよ。」

呆れたように彼は言った。

それは確かにそうだ。
彼本人じゃないなら私の名前は知らないはずだ。

ってことは
「えええっ!?本物!!?」