真面目な鳩井の、キスが甘い。


 ⋈






「どうしたの」

「えっ?」



 いつもの時間、保健室、一番奥のベッド。

 鳩井が心配そうに私の顔を覗き込んでいる。

 以前にも増して顔色が良さそうな鳩井は、SNSで話題になるのも納得のカッコよさで。

 きゅぅ、と胸が苦しくなった。



「ボーッとしてる」

「あ、ううん、なんでもないよ!」

「……」


 なんでもなくないでしょ、と言いたげな鳩井のまっすぐな視線は、一晩経っても不安をぬぐい切れなかった私の胸をえぐってくる。


「……ちょっと抱きついてもいー?」

「……」


 鳩井は私に向き直ると、手を広げて「はい」と言ってくれる。

 ポスッとその胸の中に飛び込んでしがみつくと、鳩井が優しく包み込んでくれる。


「……疲れちゃった?」


 鳩井の静かな低い声が降ってくる。

 鳩井は、私が仕事でなにかあったと思ってるのかな。
 

「……そうかも」