真面目な鳩井の、キスが甘い。

 ズビッと鼻を啜ると、だーさんが私の異変に気付いた。


「やだーなにー?情緒不安定?大丈夫?」

「あ~~~大丈夫!大っ丈夫!マジで!!」


 私、意外と仕事で疲れてるのかも。

 さっきまで幸せいっぱい元気いっぱいだったはずなのに、起こってもないこと想像して泣くなんて。

 そこでまた、鳩井からのメッセージを受信する。


 
 【よかった】



「……」



 私は一文字一文字、確かめるように文字を打ち込む。



 【嬉しい?】



 自分で送っといて、ため息が漏れる。

 なんか私、だっさいなぁ

 波木日向ってこんな女々しい子だったかな。



 【うん】



「っ……、」


 
 鳩井の、たった二文字の相槌にどうしようもなく心が揺さぶられる。

 しっかりしろ。波木日向。

 頭をこてんと窓にくっつけて、スマホを握りしめる。


 鳩井。

 さっき会ったばっかりなのに。

 はやく会いたいよ。鳩井。