鳩井が少し顔をよせて、だーさんに聞こえないように囁く。


「嫉妬した?」

「……!!」


 鳩井は、揶揄うような目で心なしか嬉しそうに私を覗き込んでいる。


「~~~っ」


 なんってあざとい子なんだ! 鳩井!!
 
 耐えかねて私がぽかぽか鳩井の腕を叩くと、鳩井が「ふ」と控えめに笑いだす。


「えー? なぁーにぃー?」

「だーさん! 鳩井が! 鳩井が意地悪なの!!」

「ちょっとやだーあたしの車でイチャイチャしないでよぉ」

「すみません」

「っ、!」


 イチャイチャを否定しない鳩井に、私は言おうとしていた文句を飲み込んだ。


 それに気づいた鳩井が、


「残念だね」


 と、また控えめに笑った。