「そうだ、鳩井くん今普通に電車通学してるんでしょ? これから日向が学校行くとき鳩井くんも一緒にのる? 仕事次第だけど、ついでに送ってあげるわよ」

「!! それめっちゃいい! そうしよう!!」


 鳩井といられる時間増える!!
 

「いえ、大丈夫です。 ただの一般人なので」

「っだぁー!!」


 そうやって鳩井は、一瞬で希望を打ち砕くんだから~!
 

「一般人ったって、結構話しかけられるでしょう?」

「大丈夫です。 本当に」


 鳩井が頑なに断るので、だーさんは「そう?」と引き下がるしかない。

 眼鏡を直す鳩井の仕草が気になって、私は鳩井の袖をツンと引っ張る。


「本当に? 鳩井、なんか嫌なこと言われたりしてない?」

「……うん。大丈夫」


 鳩井はふ、とわずかに口角をあげた。


「波木さんこそ大丈夫?」

「え?」

「さっき。すごい顔してた」

「え!?さっきって!?」

「……」