「まったくも~!外でデートするならするって言ってよ!あんな大注目浴びちゃって!明日またHahoo!トップニュースよ!!」


 運転席でエンジンをかけながらだーさんが憤慨する。

 私の隣に座る鳩井が「すみません」と素直に謝った。
 

「えっへへーごめんねーさっき思いついてさー!こんなにたくさん集まってくると思わなかった~!」

「当然よあんた!今テレビで波木日向が出てない日なんてないんだから!鳩井くんも鳩井くんよ!あんな堂々と見られながらのデート、嫌なら嫌って言っていいのよ!?」

「あ、思ったより楽しかったです」

「えー!?ヤァーダァー信じらんなぁーい!!」


 言いながらだーさんはゆっくりと車を発進させる。

 
「ヒナ。分かってると思うけど、今日はこれからバラエティ1本と来期ドラマの打ち合わせ行くからね」

「はいはーい」


 私はくぁ、とあくびして座席にもたれかかる。

 鳩井も人気者になったけど、ありがたいことに私も各所からお仕事をいただく人気タレントにあいなりまして。

 学校へ行く日も減り、鳩井との放課後キス会も必然的に減ってしまい。

 今日は久しぶりに会えたから、もうちょっと一緒にいたかったんだけど。

 小さい頃からの夢だった芸能界で、やっと活躍できるようになったから、頑張りたい。

 でもほんとはもっとゆっくり、鳩井といたい。