真面目な鳩井の、キスが甘い。

「……鳩井」



 そうだった。

 鳩井はいつも、誰かが傷つかないように

 自分を傷つけちゃう人だった。



「……ん?」



 鳩井がこっちを見ないままに返事をする。

 暴風雨が去って雨風や雷の音が遠くなり、部屋には、さっきと打って変わって静寂が漂っていた。

 何も言わずに腕の力を緩めると、鳩井が私を見る。

 

「なに…?やっぱり怖い?」



 心配そうな顔をする鳩井が愛おしくなって、私はその頬に手を添えた。

 鳩井が目を丸くして動揺する。

 

「私、傷つかないよ……?」


 
 そして私は、言葉足らずな鳩井にちゃんと届くように、言う。



「どんな鳩井も好きだよ。知りたいよ」



 真面目で優しくて、ちょっと不器用な鳩井を抱きしめるように、言う。



「だから、自分をいけないものみたいに思わなくていいよ」


 
 鳩井が嫌いな鳩井も、全部まるごと受け止めたい。

 全部知って、鳩井をもっと大好きになりたい。



「私、簡単に傷つかないし、嫌いにならないよ。私が鳩井のこと大好きな気持ち、信じてよ」



 言いながら気持ちが溢れて、目尻に涙が滲んできてしまう。



「いま鳩井が思ってること……全部知りたい。教えて」



 鳩井のポーカーフェイスが、崩れる。



「…………絶対、引くよ」

「引かないよ」

「……」



 鳩井は、頬にある私の手をそっと離させて俯いた。



「今日……波木さんを押し倒す想像ばっかしてたって言っても?」