真面目な鳩井の、キスが甘い。

《関東地方にも今夜上陸する見通しで、各鉄道会社が運転見合わせを発表しています。繰り返します、現在、海上を通過するはずだった災害級の大型台風が進路を変え、日本列島を直撃しています……》


 え?運転見合わせ?災害級って……


「泊まってくるの?音色も?……それは……うん……うん」


 鳩井が電話口に向かって話しながら、私に目くばせする。

 電話の相手は敦子さん?

 うそ、帰れなくなっちゃった感じ?大変だ。

 すると次に私のスマホが振動した。

 だーさんから。


《あっ、ヒナ?いまどこ?家?》
 
「えっと……うん!」


 家であることには間違いない。
 

《そう、よかったわ。今日のロケ、難しそうだから延期ってことになったから。今日はちゃんと家でおとなしくしてなさいね。危ないから》

「危ない……?」

《やだ、あんた考えなしに買い物とか行かないでよ?災害級の強風と雷、川氾濫してたりほんと危ないんだから!》


 私はだーさんの話を半信半疑で聞きながら、窓際に行って遮光カーテンをあける鳩井の隣に行く。