真面目な鳩井の、キスが甘い。

「……」



 時計の秒針がカチッ、カチッと動いている。

 窓の外、遠くの方で子供のはしゃぐ声がする。

 鳩井の髪のシャンプーの匂いが、鼻腔をくすぐった。

 

 ……やばい

 心臓の音大きすぎて、鳩井に聞こえちゃうんじゃないかな



「……」


 
 鳩井が、顔を少し傾ける。

 長いまつげのついた切れ長な目がゆっくり伏せられて、私もそれに呼吸を合わせるようにゆっくりと目を閉じる。



「……」



 鳩井が、息を吸った。







「…………お茶とってくる」

「え」



 予想外のセリフに目をあけると、鳩井はパッと立ち上がって階段を降りて行ってしまった。



「……えっ?」



 あれ?

 今、キスする流れだったんじゃ……

 あれ!? 私の勘違い!?

 うわ、うわうわ、恥っず!

 今思いっきりキス待ち顔しちゃってたよ!

 恥ずかしさでカカカッと熱くなる顔を、両手で押さえて足をばたつかせて耐えていると、鳩井が戻ってくる。


「波木さん、アイスティーでよかった?」


 何事もなかったかのような、スンとした顔。


「……よかです」


 穴があったら入りたい!!