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　そして、夕方。


「……来ちゃった」


　ここは閑静な住宅街。

　何の変哲もない普通の一軒家の門扉横には、大きく『鳩井』と書かれた表札がついている。

　
　私は、まさかの、鳩井家の前に来ている。


　なかなか鳩井から返事がなくて鬼ちゃんに相談したら、そんな気になるなら家行ってみればって住所を教えてくれて。

　鬼ちゃんの言うことにそっか！と頷いて即エステに行く予定をキャンセルして急いでここまで来ちゃったわけだけど……

　今さら自分がしようとしてることの重大さに気がついて、かたまっている。

　……やりすぎ？

　呼ばれてもないのに家に来ちゃうなんて、こんな彼女重い？あれ？これストーカー？元カノの二の舞？大丈夫？？

　でも鳩井に送ったメッセージはいまだに既読マークがつかなくて、【鳩井？】【おーい】と続けて送ってみたメッセージも、未読のままで……やっぱりなにかあったのかなって心配だし……

　てかこのピンポン押したら鳩井じゃなくて、きっと鳩井のお母さんとかお父さんが出てくるよね。そういえば妹がいるって言ってたし、妹さんの可能性も……

　わ、どうしよう、初めて鳩井のご家族に会おうとしてるのに何の準備もしてこなかった！この格好大丈夫！？