真面目な鳩井の、キスが甘い。

【さっき起きました】【昨日、寄り道できなくてごめん】



 メッセージの送り主である鳩井の、初期設定のアイコンに愛おしさが込み上げる。

 
 昨日倒れた鳩井は、鬼ちゃんに病院に連れていかれて疲労からの熱と診断され、そのまま休むために家へと連行されていった。

 それにしても、疲労で熱ってあるんだなぁ。

 なんでそんな疲れてたんだろう……?


【全然!気にしないで!】【熱下がった?】


 そう打ち込んで、送信ボタンを押すと、SNSアプリを開いて更新し、みんなのコメントをチェックする。

 その間に鳩井から返事が来た。



【もう熱ダルメシアン】




 !?




 私は目をパチパチさせて、もう一度送り主と、その文章を読む。



「もう、熱、ダルメシアン……?」



 ダルメシアン?

 え?鳩井が、ダルメシアンとか言う?

 言ってるとこ全然想像つかないけど。

 えっと……もう熱ダルメシアンってことは、まだ熱があってだるいってこと……?

 私はひとまず確認を取ろうと、【熱、だるいの?大丈夫?】と返してみる。


「ヒナー!そろそろ出発するから挨拶行くよー」

「あっ、はーい!」


 だーさんに呼ばれて、ひとまずスマホを置いて現場に戻る。

 それから私は、バスの中でひたすらに鳩井からきた暗号『もう熱ダルメシアン』について考えを巡らせることとなる。