真面目な鳩井の、キスが甘い。

「……っ」
 
 

 皆の前では決して取り乱したりしない鳩井が、わたしだけに見せてくれる崩れた表情。

 それがたまらなく愛おしい。

 私の気持ちも鳩井に伝わるように、鳩井の腕に縋りついて、その熱に必死で応える。

 ……あぁ、もうだめ、甘い。とろける。

 頭がボーッとしてきて真っ白になると、鳩井がようやく唇を離した。

 そしてそのままぎゅぅ、と抱きしめる。


「ごめん……調子のったかも」


 汗ばむくらい熱くなってる鳩井が、私の肩に吐息混じりのかすれ声で呟いた。

 それがすごく色っぽくて、また熱が上がる。


「……全然平気」


 平気どころか、もっと調子のっていいくらい、です。


 鳩井の脇の下から手を差し入れてギュッと抱きしめると、鳩井もまたギュッと抱きしめ返して、スリ、と耳元に頬を寄せる。

 鳩井の匂いが鼻を掠めたら、何かが込み上げてきて、思わず「……会いたかったぁ」と口からこぼれた。

 そしたら小さく「……俺も」って返ってくるから、胸がキュンと切なくなる。