「……おーい、日向ー」

「もしかして拗ねてんのー?」


 黒歴史に上塗りする黒夢に悶絶する私の頭の上から、二人の声が降ってくる。


「悪かったって。どうしたらセクシーになれるか真剣に…ぷっ、一緒に考えてやるからよ」

 晴翔くん?真剣にって言いながら噴きましたね?

「マジな話さー、日向に足りないのは経験じゃなーい?」

「!」


 美愛からされた初めてのそれらしいアドバイスに、私はバッと顔をあげた。


「詳しく!」

「日向ってさー、彼氏いたことはあってもあんま続いたことはないっしょー?」

「ぐ」


 美愛の言う通り、私は彼氏がいたことがある。何人か。

 まぁ私、顔だけはいいらしいので。うん、顔だけはね?

 大体向こうから言い寄ってきて告白されて付き合って、そして3日と持たず、


「思ってた感じと違ったわー」「ごめん疲れたわー」「日向とはやっぱ友達がいいなー」


 的なこと言われちゃってフラれちゃって。

 まぁ、自分のこのマグロじみた性格のせいだとわかってる。

 私にとっては漫画で見るような色っぽい空気など、都市伝説なんです。