真面目な鳩井の、キスが甘い。

 お口チャックお口チャック……と頭の中で唱えながらスタッフさんに誘導されてカーテンの前に立つと、カーテンに穴が開いてるのを見つけた。

 ふむふむ。ここから手を入れて鳩井の手を当てればいいんだね。
 
 これは余裕!

 だって私、鳩井の骨ばった手大好きだもん~♡



「みんな準備オッケーだね?それじゃあ一人目!握手してくださ~い」

 
 スタッフさんの合図でカーテンに手を入れると、男の子の手にぶつかった。

 手探りでその少し大きめな手と握手をする。


 ……あ。

 この手、知ってる……


「晴翔だ!」


 口にしてしまってから、ハッと口を塞ぐ。


「……アホ。」


 カーテンの向こう側から晴翔の小さな声がした。


「ちょっとヒナちゃーん!声出しちゃダメって言ったじゃん!」


 スタッフさんに笑いながら注意される。

 
「わーごめんなさい!知ってる手だったのでうっかりー!」

「え、なになに?それどういうこと……って聞いていいのかな!?」

「あ、幼馴染みです!小さい頃から近所で!」

「そうだったんだ!すぐわかるなんて仲いいんだね~」