真面目な鳩井の、キスが甘い。

 かっこいい。

 かっこよすぎる。

 知ってた、知ってたけど。

 予想をはるかに超えてきた。

 キラキラ、チカチカ、まぶしく見える。

 
 断言する。

 この人がいま、世界で一番かっこいい。


 

「波木さん……?立てない?」


 こんなにも声を出さない波木日向ははじめてだからか、ひどく心配そうな顔の鳩井が手を差し出してくれる。

 世界一かっこいい人から目が離せないまま、そっとその手に自分の手をのせたら、スルッと口から本音がもれた。


「かっこいい、付き合って欲しい」


 できれば結婚して欲しい。


「…………ふ」


 世界一かっこいい彼氏が、左側の口角をあげて控えめに笑った。


「いいよ」


 
 っあ゛~~~~~!!

 好っき!!



 私は慌てて鳩井から手を離して両手を掲げて鳩井の顔が見えないように隠す。



「やばい!ちょっとやばい近寄らないほうがいいかもしんない!」

「なんで」

「心臓潰れそうかっこよすぎて!」

「……大袈裟」

「大袈裟じゃないよ!うわぁ、どうしよう!え待ってお揃いっ、お揃い~~~!」

「知ってたでしょ」

「知ってた!!」

「ん゛」


 また鳩井が例の笑い方をして、グーにした手で口元を隠すから、ときめきが限界突破した。


「ファンクラブあります……?」


 入会したいです。月額料金払います。貢ぎたい。億積みたい。

 ……鳩井のそのめんどくさそうな顔も、かっこいいからもっとちょうだい?