真面目な鳩井の、キスが甘い。

「晴翔!?」


 私服の晴翔が腕を組み、ばつの悪そうな顔でそこに立っている。

 なんで!?


「え!ヒナちゃん知り合いだったんですか!?」

「知り合いっていうか幼馴染みだけど……え、なんで2人が?どういうこと!?」

「あのですね、無理言って晴翔さんにお願いしたんです!」

「お願いしたって…レナちゃんが?」

「はい!私、兄がバスケ部なんですけど、兄の応援で昔からよくバスケの大会見に行ってて。晴翔さん、バスケうまいしかっこいいしで、この地区ではすっごい有名人なんですよ!それで私ずーっと憧れてて……何回も告白して何回もフラれてるんです~」

「レナちゃんが、晴翔を……!?」

 
 確かに晴翔はバスケ界隈で有名らしいって聞いてたけど……まさかレナちゃんが晴翔を知ってて、しかも何回もフラれてるなんて……!


「今回のカップル撮影、絶対出たくって。最初断られちゃったんですけど無理やり連れてきちゃいました♡」


 レナちゃんが晴翔の腕に自分の腕を絡め、嬉しそうに顔を寄せた。

 晴翔はレナちゃんにされるがまま、何かを諦めたように目を据わらせている。

 あれ?もしかしてレナちゃんって意外と肉食?


「フフッ、今日の撮影楽しみですね〜♡」


 レナちゃんはこれまでにないくらいたくさんのお花を飛ばすと、「あ、おはようございます!」とメイクさんに挨拶して、「じゃあ晴翔さん、またあとで~」と中に入っていく。

 必然的に晴翔と目が合った。