私の顔で察したらしい美愛が私の頭を撫でた。


「なかなかお砂糖発動しそうにないねー」

「いいのです。私は彼のこういうところを好きになったのですから」


 悟りを開いた顔で言ってる私、きっといまファー……って後光がさしてると思う。

 
 その時、突然後ろからスマホを取り上げられた。


「わっ」


 反抗期くんがわたしから取り上げたスマホ画面を黙って見つめている。


「……」

「?晴翔?」


 晴翔は私に向き直ってスマホを返してくれながら、少し大きな声で言った。
 
 
「じゃあ、俺が出てやるよ」

「え?」


 晴翔が鞄を置いた。
 

「日向の彼氏として。俺が出てやる」


 晴翔は椅子を私の真横に置いてそこに座り、結構な近さでじっと私の目を見た。

 その目は、何かを訴えるような、まっすぐな力強い目。


「……?や、でも、晴翔はリアル彼氏じゃないし……」

「撮影の後すぐ別れたってことにすればいいだろ。実際日向の過去の彼氏だってそうだったし」

「まぁ、確かにそれはそうなんだけど……」