「好き……♡」

「……うん」


 私の唐突な告白にもすんなり受け入れてサラッとした相槌をうってくれる鳩井。好き。

 私はポスッと鳩井の胸に顔をうずめると、今日一番の疑問を口にする。


「……なんで逃げちゃうの」

「……」


 鳩井が小さく咳払いした。


「…………公に、しないほうがいいんじゃないかと」

「?」

「波木さんと、こんな地味な男が付き合ってること……あんまり言わないほうがいいんじゃないかな」


 私はガバッと顔をあげる。

 
「なんで!?」

「波木さん有名人だし……モデルって、人気商売でしょ」

「あっ、いいのいいの!うちの事務所恋愛ウェルカムなとこでむしろ彼氏できたら言えよって言われー……」

「ごめん」


 鳩井が申し訳なさそうに目をそらして言う。
 

「……なるべく、静かに過ごしたい」

「……!」