「なぜ?なぜ私にはセクシーが装備されてないの…?」

「えー日向がセクシー?想像つかなーい」

 美愛が長く綺麗に巻かれた髪をくるくると人差し指に巻き取りながら流し目をした。

「わ!わ!なにそれ!セクシー!」

「ん?」

 私はさっそく美愛をマネして、ちょっと小首を傾げながら自分の染めたての明るい茶髪をくるくると人差し指で巻き取ってみる。

「どー?」

「ショートコント始まりそう」

「なんでやねん!!」

 私が頭を抱えて後ろに大きくエビ反りしたとき、



「なにやってんだよ」



 反転した世界の中で目があったもう一人の幼馴染。



「晴翔…」

「朝からホラーなことしてんじゃねーよ」


 晴翔が私の鼻を摘む。


「カハ!!」


 なぜか息の仕方がわからなくなった私をよそに、私の反対隣の席に鞄をドスッと置いたやたらデカい高身長男子、晴翔。