そして人のいる渡り廊下のほうを避けて、教室棟に向かって角を曲がった時だった。



 ドンッ!


「!」


 誰かにぶつかってしまって、後ろによろけたところをその人に抱えられる。



「え……ヒナ?」

「……!」



 ノア……!



「え?なに?泣いてるの?」


 ノアが私を抱きしめるような体勢のまま顔をまじまじと見てくる。


「っ、泣いてない……!離して!」


 慌てて顔を拭きながらノアの腕から逃れようともがく。


「いやいや泣いてるじゃん……あ!もしかして、僕が負けちゃったから!?」

「……は?」