感情のままに叫んだ声は、自分が思うよりずっと痛々しく廊下に響いた。

 直後にハッとして顔をあげる。



「……っ」



 そこには私を見て固まる鳩井がいた。




 『鳩井は好かれるのが怖いんだってよ』

 『望むものをやれないから』




「っ……、」




 大好きな鳩井の目が、鎧の剥がれ落ちた情けない私の姿をしっかり捉えていて


 怖くなった私は、逃げ出した。




「……ごめんっ」




 鳩井の横をすり抜けて、廊下を走りだす。




「波木さん…!」




 鳩井の声を背中に聞きながら、私は全速力で廊下を駆け抜ける。

 涙がぼろぼろ溢れてきて止まらないけど、構わず走る。




 ……言った。

 とうとう言った。

 心の内の、ドロドロした部分をさらけ出してしまった。



「ハァッ、ハァッ、」



 もう 終わりだ

 全部終わりだ……!