「あっ、てか鳩井、すごかったね!バスケ!いっぱい練習したんだね!頑張ったね!助かったよ〜ノアと付き合うなんて嘘でも絶対やだったしさ〜!」

「……うん」


 鳩井の目が少しだけ柔らかくなったような気がした。


「波木さんをあの人にとられなくて、本当によかった」





 ……

 もうやだ。





「……」



 ピタッと停止して動けなくなった私を、鳩井が心配そうにのぞき込む。



「……?波木さん……?」


「なんで」


 もう明るく振る舞うことなんてできなくて、声が低くなって、震える。


「なんでそういうこと、言うの……?」


 鳩井は突然様子のおかしくなった私に、心配そうに瞳を揺らす。


「ひどいよ……っ」


 なんで

 なんで思わせぶりなことばっかりするの

 キスフレだから?友達だから?


「鳩井は、ひどい……!」


 気持ちが溢れるままに、困惑してる鳩井の胸をドン!と叩いた。





 ──……好きになられたら、困るくせに





「私のことなんか……っ、好きじゃないくせに!!」