「何、笑ってるんだよ。どっちも可愛いじゃん、子供のドクターも看護士の陽菜乃も。あ、そうだ! 今は着れないけど……、制服を借りてこようか? 産まれたら着てみる?」

「え?」

「ナース服だよ」

私は言葉に詰まって黙り込む。

「……でも、陽菜乃の着物姿も一度は脱がせてみたいし、迷う」

和菓子屋での制服は基本は着物だ。身ごもってからは着ていないけれども。

「え、ちょっと待って。何の話?」

「あぁ、男の願望の話だから気にしないで」

そんな事を言われたら余計に気になるし、恥ずかしい。次第に暖まりつつあった身体が一気に火照るような気がする。

「ナース服はさておき、着物は脱がせてみたいから、いつの日か必ず叶えてね」

そう言った後、首筋にチュッと唇を触れさせる瑛ちゃんに「変態」と言ったら、肩を震わせてクスクスと笑っている。絶対に私をからかって遊んでいるのが分かる。

「おやすみ、陽菜乃とこひな」

【こひな】とは私の赤ちゃんだから、陽菜乃の子という意味合いからきているらしい。

耳まで火照ってしまった私を置いてきぼりにするかのように瑛ちゃんは先に眠りにつこうとしている。再び、私の首筋をキスを落とし、お腹を擦りながら赤ちゃんにもおやすみの挨拶を伝える。

一緒にベッドに入る時、瑛ちゃんは私にキスをしてから深い眠りにつくのが日課になった。それは唇の時もあるし、額の日もある。起きる時も、瑛ちゃんは私にキスを落としてからベッドから降りる。夜中や朝方に呼び出しがあった日もそれは欠かさずにしてくれているみたいで、妊婦で眠りの浅い私は直ぐに気付いてしまう。起こさないようにと気を使って、そっと出ていこうとしているのが分かるので、私はあえて眠っているフリをしているのだけれども。

毎日、瑛ちゃんの愛に包まれている私は幸せ者だなとつくづく思う。幸せを噛み締めながら、今日も眠りにつく──