お正月。順調にお腹の子は育っていて、安定期真っ盛りの私。食べづわりもなくなったので、食欲はセーブしつつも、瑛ちゃんに手作りのおせち料理を食べさせてあげたくて頑張って作った。

元旦は瑛ちゃんのご実家にお邪魔して、二日は私の実家の家族みんなでおせち料理を囲む運びとなった。私は料理教室で習得した初級から中級クラスの一般的なおせち料理を母と一緒に作り、提供する。豪華なおせち料理の習得は間に合わなかったが、先生が直々にレシピを教えてくれたので来年は挑戦出来るように腕を磨こうと思う。

「初音さん、大丈夫? 無理しないで大丈夫だから休んでて下さい」

「ありがとう、ちょっとだけ横にならせてもらうわね」

全員が集まり、乾杯が済んだ後に初音さんは席を立った。実は初音さんも懐妊して、つわり真っ只中。気分が悪くなり、立ち上がった時もよろけてしまう。初音さんのつわりは酷そうで可哀想な位だ。

ご飯の炊ける匂い、揚げ物や煮物の匂いなど、とにかく食べ物の匂いに敏感になっているし、水分を取りたくて口に含んでも吐いてしまう状況らしい。

「初音さんのつわりがだいぶ酷そうですね。正月でも救急外来は開いてますので、是非いらして下さい。点滴治療をすると楽になるかと思います」

初音さんの症状を見た瑛ちゃんが心配そうな顔をしながら提案をする。