目まで覆われているタオルのせいで瑛ちゃんの顔は見えないが、隣に座っているのだけは分かる。

横になっている私の手を握り、
「陽菜乃は子供の頃から興味があるとはしゃぎ過ぎる癖、変わってないね」
と言われた。

反論しようとした時、
「そこがまた、とてつもなく可愛いんだけどね」
と言い口付けをされた。
不意打ちに驚き、タオルを手で剥がしてしまう。

目と目が合い、私は何を思ったのか瑛ちゃんの頬に左手を触れさせた。

「何?」

「何でもない。……でも、急に瑛ちゃんに触れてみたくなったの」

「陽菜乃にそんな格好で、そんな可愛い事を言われても困る。生殺し状態だな、今の俺は……」

「ごめんね、でも、もっと瑛ちゃんに触れてたい」

頬に触れている指先から、瑛ちゃんの存在を確かめる。サラサラの髪の毛、すっと通った高い鼻、薄い唇……、全てが愛おしく、指先で触れて行く。

「瑛ちゃん、大好き」

言葉と同時に起き上がろうとした時、グラりとふらついて瑛ちゃんに寄りかかる姿勢になった。

「ほら、まだのぼせてるんだよ。もう寝よう、今日は疲れてるのに付き合ってくれてありがとう」

「私こそ、色々とありがとう。そして色々とご迷惑かけてごめんなさい……って、これじゃドキドキしちゃって寝れないよ?」

「俺はこうして寝たいの! おやすみ」

腕枕をされて瑛ちゃんの方を向かされて、抱きしめられている。夫婦になっても、こうして一緒に抱きしめられて眠るのはドキドキしてしまう。

「キスだけなら、赤ちゃんもびっくりしないよな?」

「……ん、」

何度か軽いキスを交わした後、私を抱きしめながら直ぐに眠りについた瑛ちゃん。彼の胸に顔を埋めて、私も直ぐに眠りについた──