「そんなに緊張しなくて良いのよ。瑛と結婚したからって、関係性は変わらないわ。以前よりも一歩引かなくて良いから、自然のままの貴方で居てね。

私は意地悪な姑になるつもりもないし、寧ろ、お義母様にも意地悪なんてされた事がないの。自己中心的にならない位に自我を出して良いのよ? 私としては今まで以上に仲良くやって行けたらって思ってるわよ」

優しい微笑みを浮かべたお義母様は凄くお綺麗で、私もいつの日か、こうなりたいと願った。お茶のおかわりを急須で入れながら、皆の優しさに触れて目に涙が滲んだ。

「あら、陽菜乃ちゃん、泣かないで。どうしたの?」

新しい淹れたてのお茶を配る手元が震える。嬉しくもあるのに、涙が落ちて来てしまうのは何故だろう?お祖母様が私の背中をさすってくれている。

「瑛ちゃんとは立場が違いすぎて、正直、皆に受け入れて貰えるかが、不安でし、た。でも、心配を他所に……こんなに優しくして頂けてうれし……い」

子供みたいに嗚咽を漏らしながら泣いてしまった。

「立場がどうとか、由緒正しい家系のお嬢様と結婚させるとか、今の時代に似つかわしくないと思うの。お互いに好きな人じゃなきゃ、長続きはしないものよ。誰か知らない人よりも陽菜乃ちゃんで良かったわよ。心のどこかで瑛大は陽菜乃ちゃんと結婚したら良いのに?って思ってたからね。

これから貴方はまだまだ先が長いんだから仲良くやっていきましょ?」