歩きながら話をされても、着いていくだけで精一杯で相槌を打つことしか出来ない。病院内のカフェに着き、望月先生はホットサンドイッチとノンカフェインのフルーツティーを注文してくれた。

望月先生も同じホットサンドイッチをオーダーしたが、苦味の強い暖かい珈琲を他に注文していた。

「夜勤明けには、にっがい珈琲飲まないと頭働かないんだよね。俗に言うカフェイン中毒。医者は患者にはアレコレダメだしするけど、本人は適当な生活してるのがほとんどよ」

「そ、そうなんですね」

「そんなもんよ。鷹司だって、貴方と結婚する前は夜勤でも無いのに泊まってたり、カップ麺を食べてたり……、時には朝昼晩に御飯の代わりに和菓子を食べてたわよ。

アイツこそ、その内、病気になりそうな生活してた。今は良いよね、可愛くてお弁当まで持たせてくれるお嫁さんが居るんだからさ!」

望月先生、クールビューティーな外見なのによく喋るなぁ……。

瑛ちゃんはカップ麺とか和菓子で御飯を済ませてたんだ。さすがに朝昼晩の和菓子は関心しない。忙しいから仕方ないとは思うけれど、今は私がついてるからそんな事はない、……と思いたい。

「鷹司の何が良いの? 子供や患者さんには優しいけど仕事になると鬼畜だから、看護婦もたまに泣くわよ。暇さえあれば寝てるし、外来には自分が手術をした患者の時にしか顔を出さないし、仕事は出来るけど性格が歪んでる」

望月先生は完全に愚痴モード。

「瑛ちゃ、……いや、瑛大さんは子供の頃から優しくて人気者でしたよ。確かにお家でも疲れて直ぐに寝ちゃう事が多いですけど……」