「ん? アメリカに居る時も何日かに一度は連絡をくれたから、俺はずっと付き合っていたと思ってたけど、多分、陽菜乃はそうじゃなかったかもな……」

「え……? 陽菜乃は付き合っていた事の自覚が無かったのか?」

兄は目を丸くして驚きながら、瑛ちゃんに問う。

付き合っていた?

私と瑛ちゃんが……?

いつから……?

そんな事は私が聞きたいよ……!

「瑛ちゃんに付き合おう、とも好きだとも言われた事が無かったけど……?」

瑛ちゃんは付き合っていたと思っていた、と言っているし、兄にも自覚が無かったのか? と聞かれても、当の本人は何も知らないのだ。身に覚えに無いのだから、答えようが無い。

「陽菜乃が連絡くれる度に"大好きだよ"って別れの挨拶で言ってたのに、何だと思って聞いてたの?」

「え? 子供の頃からのいつもの挨拶だから、気にもしてなかったよ。あれって、幼なじみとしての好き、じゃなくて、恋人としての好きだったの?」

「大人にもなって、幼なじみとしての好きを伝える必要がどこにあるんだ?」

頭を抱えている瑛ちゃんを見て、兄が失笑している。

「……っぷ! 世界を股に掛ける天才外科医も陽菜乃には勝てないみたいだな。陽菜乃の恋愛音痴は瑛大でも治せないだろうな」

兄は私達の会話に堪えられずに吹き出した。笑いが止まらないらしく、むせっている。

そんなに面白い事を私は言ったのかな?