幼なじみの外科医と密なる関係~甘やかな結婚生活~

──翌朝、瑛ちゃんに起こされた。

「おはよう、陽菜乃。千瑛の事、一緒に迎えに行くんだろ? 本当はゆっくり寝かせといてあげたかったけど、千瑛もママを待ってると思うから」

瑛ちゃんはいつも通りのスタイリッシュな服装に身を包んでいた。今は何時なのだろう? 慌てて飛び起きてベッドサイドに置かれているデジタルの時計を見る。

「は、8時15分過ぎてる!」

完全に寝坊である。日勤の瑛ちゃんのお弁当も作っないし、朝御飯も作っていない。

「瑛ちゃん、ごめんね。お弁当は後ほど届けるから。朝御飯、簡単に作るね!」

「いいよ、無理しないで。千瑛が居ないから、栄養バランスを考えずにトーストだけで充分だよ。お湯を沸かしておいたから、俺にコーヒー淹れてくれる?」

「本当にごめん! 急いでトースト焼いてコーヒー淹れるね」

バタバタと軽く身支度をしてキッチンに向かうと先に来ていた瑛ちゃんがトーストを焼き始めていた。

「私が寝坊しちゃったのが悪いのに瑛ちゃんに朝しょ……」

瑛ちゃんの側まで寄り、トースターの前まで駆け寄る。ふと目と目が合い、瑛ちゃんに不意打ちのキスをされた。

「おはようのキスしてなかったから。寝坊したのは俺の責任でもある。陽菜乃が余りにも可愛すぎて結局は無理させたな、ごめん」

昨晩の事を思い出しては赤面してしまう。新婚当初のように甘くて濃密な時間を過ごした私達は新しい命が宿った事など、この時は知る由もない。

その後、実家付近まで手を繋いで千瑛を迎えに行った。千瑛は寂しかったのか、私を見るなり、泣き出した。「ちーちゃん、お泊まり頑張ったよ」と言ってしがみついて離れなかった。初音さんいわく、千瑛はパパママの話はせずにただひたすら、はしゃいでいたらしい。けれども、無理しているからこそ、思い出さないように努力していたのだろうなぁ……という風に私と初音さんは勝手に解釈していた。

仕事前だから大丈夫だとお断りしたのに、瑛ちゃんは千瑛を抱き抱え、私と千瑛を自宅まで送り届けてから病院へと向かう。

──幼なじみの瑛ちゃんは私を極上に甘やかす。

それは、時に餡みたいにまろやかに甘くて、時に金平糖みたいにほんのりと甘やかな結婚生活である。

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