和田にじっと見られている


「悪い……話の邪魔をして」


大冴は再び本を読み出した。


「……好き」


「は?」


菜摘は大冴の本を取り上げた。



「お、おい」

「私この作者の本が好きなのよ、これ図書館にあるの?」



背表紙を見て学校の図書と気づいたようで


「あるよ」

「嘘~たくさん巻数があるから買うの迷ってたの、帰りに寄ろうっと」


俺の読んでいた本をパラパラとめくっている


おいおい、読んでたところがわからなくなるだろ

でも、嬉しそうだからまあ、いいか


「今日は借りれないぞ」

「何で?」


「図書委員がいないから」

「じゃあ明日は?」

「わかるかよ」


本をパタンと閉じた。


「じゃあ、何で野村くんは借りてるの?」

「春休みに借りて……委員が決まってから返却でいいって先生が言ってたから」


「あー……そっか」

残念そうな顔をしていた。


大冴はカバンから1冊の本を出した。

同じ作者の読み切りの本だった。


「ん……読む?」

和田に渡した。

「いいの?」

本を持って近づいてくる。

ちょっ……近い


「こ、これは俺のだから……返すのは急がないし」

「ありがとう!!」


嬉しそうな笑顔に少し大冴は照れた。