次の日の朝、菜摘が登校すると教室から大きな声が聞こえてきた。


「どうしたの?」


麻耶に話しかけた。


「あー、昨日体育委員会があったらしくて、城戸さんが出なかったみたいで男子が怒られたらしい」



「おはよう」



爽やかに瞬弥くんと、クールな野村くんが入ってきた。



「どうした、廊下まで声が聞こえてたぞ」



会話もせずに瞬弥くんのカバンをさりげなく野村くんが預かり席へ座る。



「潤(じゅん)離れろ、そんなに近づいたら怖がるだけだろ」



体育委員は友達に引っ張られて後ろへ下がった。



「ごめんね、潤の言い方がキツかったかもしれない……昨日どうかした?理由って言える?」


瞬弥くんの聞き方は優しい。



「……お腹が痛くなって保健室に行って薬をもらって少し休んでなさいって先生に言われて……

楽になって委員会に行ったらもう終わってて……」



ずっと城戸さんは下を向いて小さな声で話した。



「そうか、今日体育委員の先生には伝えておくよ、潤、連絡事項は?」



「ゴールデンウィーク明けまでに出場する人を決めておくようにって」



潤の手には1枚の紙がもたれていた。



「ちょっと預かる」


菜摘は瞬弥くんと目が合って紙を取りに行く。



「コピーお願い」


「わかった」


菜摘は教室から出ていった。