「母さん、昼メシ早めに作ってよ、部活前に本屋に寄りたい」
家に帰ると大冴は部活の準備を早々とした。
「言ってくれたら車で帰りに寄ってあげたのに」
「いや、ゆっくり見たくて……母さん待たしちゃうから」
遠慮しちゃって(笑)
「何時に食べる?」
「11時半で」
早めの昼食を終えると行ってきますと告げて大冴は家を出た。
「あれ?野村くん」
菜摘が家から出ると偶然出食わせた。
「和田……早い」
「何が?」
「さっき、瞬弥と会ってなかったか?」
「……会ってないよ」
あれは妹って言いたいけど我慢我慢
「あれ?見間違い?」
「それはわからないけど会ってないよ、部活?」
「まあ、部活の前に本屋に寄りたくて」
「本屋?一緒に行っちゃダメ?」
「ダメでは……ない……が……」
大冴の返事も待たずにバタンと家の中に入っていった。
あれ?女ってこうなのか?
由奈の挨拶と似てる……
え?
「お待たせ!」
カバンを持ってきていた。
「駅前の本屋?」
「うん」
「行こ!」
この間の学校からの帰り道もこんな感じだったなと大冴は思い出していた。



