菜摘は肩をポンポンと軽く叩いた。


「いつもの菜穂で笑顔、笑顔」



「うん、ありがとう」


菜摘の自信が私にもあったらな……

嬉しいけど少し怖い気もしている。




「迎えにきてくれるの?」


「何かね朝早く用事があるらしくて、駅の噴水で待ち合わせなの」


「デートらしいね、あっデートか(笑)」


「うん、じゃあ行ってくるね」


嬉しそうな菜穂を見送った。

さて、私は掃除と洗濯と……






瞬弥は新幹線の止まる大きな駅に来ていた。


大冴の父親を見送って帰りに最寄り駅まで送ってもらう予定だった。


「大冴、また来週な」


「うん、合流する」


全日本の若手ユースの強化練習が行われるのだ。


大冴の父親は空手界隈では有名な選手で全国から指導要請や講演などに飛び回っている。



瞬弥の父親は普段はサラリーマンだが小さい頃からもちろん空手はやっていたが最近は忙しくてあまり出来ていない。



大冴の母親の運転で見送りにきたのだ。


実は大冴も母親とは久しぶりで、普段はいないが父親と一緒に戻ってきていた。



車に乗り込むと噴水まで送ってと行き先を告げる


「あら、遊びに行くの?」


「うん、久しぶりにバスケ部休みなんだ〜」


「大冴も?」


「いや、俺は午後から部活」


「近くまででいいよ」



噴水の近くで降ろしてもらうと小走りで噴水に向かって走っていった。