「いってきまーす」
玄関のドアが開いた。

「あっ、おはよー大冴(たいが)兄ちゃん」

「おは…………よ」

挨拶をし終える前にはもう由奈(ゆな)の姿は見えなくなっていた。

俺の朝の挨拶は多分最後までは聞こえてないようで……

野村大冴(のむらたいが)は高校2年
さっきの野村由奈(のむらゆな)は中学生の従兄妹だ。



そしてドアが閉まるとすぐ開き、俺と同じ歳の従兄弟の野村瞬弥(のむらしゅんや)があくびをしながら玄関から出てきた。


「ふぁあ……ねむっぅ〜」

2人は特に朝の挨拶はしない

「夜更かし?」

「ん〜まあ……2時くらいまで電話してたら寝おちしてた」

「ふーん」

どうやら最近瞬弥には彼女が出来たと思う。


あくまでも長年一緒に育ってきた俺の勘なのだが……



昔からイケメンと言われ、優しい笑顔で高身長

オシャレには気を使い毎日髪型もマッシュやセンター分けやら色々気分で変える

部活で汗をかく前まではせめてキチンとしていたいらしい

香水も軽く付けて朝はいい匂いがしている。

今は2年ながらバスケ部のエース

はっきりいって昔からモテていた。

中学の時は彼女もいたけどすぐ別れたのが2人ほど、告白された人数は2桁を超えているだろう。

俺の知っているのはそのくらいだが……

3年になると告白されても付き合わなくなった。


中学の時に女子達が俺に『理由を聞いて』なんてせまってくるから1度理由を聞いたのだが『めんどくさくなった』と……



そのまま女子には返事をしようとしたが瞬弥の印象を考えて受験の為と適当な嘘をついてしまった。