それから毎日のようにバスケ部の見学に行った。普段見ている時とは雰囲気が違いとてもきびきびと動いていた。

休憩中湊先輩達は、絃羽先輩の周りにすぐ駆けつけていた。

五人でいる時は表情がすごく柔らかくなっている。

正直めっちゃ羨ましい…。

体験時間となり湊先輩とペアになった。やっぱ雰囲気が少し怖いが教え方は分かりやすくとにかくバスケがめっちゃ上手い。

練習を見ている限りこの部内では1番じゃないかと思う。

俺はバスケ部に正式に入部した。

絃羽先輩は一年に付きっきりで受験明けの運動でちょっときついが、幸せな時間だった。

久々の運動だとやはり体力も落ちていて他の人にも負けそうだった。

だが先輩によく見られたいのでどの練習でも一番をとれるように一生懸命頑張った。

元々バスケが好きだったのもあり毎朝走り込みをして、先輩方にも負けないよう練習を沢山した。

積極的に絃羽先輩に話しかけ練習の準備を手伝ったりした。

少しずつだが打ち解けてくれてるようにも見える。

練習が終わり道具を倉庫に片付けようとしていると中に絃羽先輩がいた。

高い場所から物を取ろうとジャンプをしていた。目的のものが取れたみたいだが一緒に他の物も落ちてきた。

「先輩!!」

俺はすぐさま走り先輩を庇った。何とか間に合った。

「先輩…怪我ないですか?」

咄嗟に抱きついてしまったがすぐに離した。

「うん。ありがとう。蒼は大丈夫?」

先輩は上を向き身長差もあるので上目遣いをしているようにみえる。

…かわいい。かわいすぎるよ。

俺は思いを振り切り出来るだけ平静を装った。

「はい!大丈夫です!」

「よかった。ありがとね」

そう言って先輩は微笑んだ。

普段笑わない先輩の笑顔の破壊力は半端なかった。

俺はきっと顔が真っ赤だろう。倉庫が暗くて本当によかったと思った。

その後すぐに湊先輩達が駆けつけてきた。

「すごい物音したけど大丈夫か?!」

「うん。蒼が庇ってくれたの」

「そっか〜蒼ありがとう!」

樹先輩にもお礼を言われたが俺は顔を見られないように返事をし道具を片付けた。