〜学校からの帰り道〜


「あっ!」


え…なに?


「きみさ、昼バスケ見にきてくれてた子だよね?」


「あっ、はい。」


遠くから走って声をかけてきたのは、頼くんと一緒にバスケをしてたであろう友達だった


「おい秋斗!急に走るなって。」


「頼!ごめんって。でもこの子がいたからさ。急に声かけてごめんな!」


「いえ…。大丈夫です。」


「俺、一ノ宮秋斗(いちのみやあきと)!こっちは友達の…」


「2年3組如月頼、よろしく。君は?」


「4組の漣波瑠です。」


「敬語じゃなくていいよ!波瑠ちゃんよろしくね!」


「うん!よろしく!」


「波瑠ちゃんさ、そんな格好で暑くないの?」


この人もか


「お前なぁ、いきなりそんなこと聞くなよ。ごめんね漣さん。」


「いや、大丈夫だよ。よく聞かれるから。教室のクーラーってこの時期効きすぎるんだよね。だから寒くなってもいいように、いつも長袖なの。」


「そっか〜。でも帰る時くらい、セーター脱げばいいのに。」


あはは。
私は苦笑いでその場を乗り切るしかなかった。


「……」


自分の気持ちを押し殺すのに必死だった私は、頼くんが心配した顔でこっちを見ていることに気づかなかったんだ