アイスココアとコーヒー

焼き芋とベビーカステラを持って、早めに花火の穴場スポットへと向かう。
いつもより少し早足で、手を繋いでいなかったらはぐれてしまいそう。
お互い無言で足を進めると、人の少なくて景色のいい場所に出た。
「ごめん、急いで」
「いいよ、全然」
景色から伝わる落ち着いた雰囲気が、私の心も少し落ち着けてくれる。
「俺さ、ずっと言いたかったことあって」
向き合って、まっすぐ目を見て言われるとドキドキ、なんて可愛いものだと思ってしまう。
ドキドキはドクンドクンを超えて、ドッドッドッと早鐘を打っていた。
さっきまでのささやかな落ち着きはこの一瞬でどこかへと消え去っていた。
「……うん」
「中学の頃からずっと、言いたかったけど隠してた。聞いてくれる……?」
緊迫した空気が流れている。
周りの静けさも、それに加担しているように思えてならない。
「うん、聞く。聞かせて……?」
私が言うと、優太くんは大きく深呼吸をして口を開いた。
「本当はまだ隠しておくつもりだった。でもさっきの詩みて、我慢できなくなった」
……え、振られる?付き合ってないのに?
でも聞くって言ってしまった以上逃げ出せない。
「何でも話して欲しいんだ。不安なこととか、嫌なこととか、全部。体調悪いのだって隠さなくていい。俺が詩の彼氏になって、支えていきたいって思ってる。ずっと」
俺が詩の彼氏になって……?
え、俺が詩の彼氏になってって言った!?
予想外のことが起きすぎてパニックになっているにも関わらず、優太くんは言葉を続ける。
「中学の頃は恋愛禁止だったから隠してたけど、もう隠さない。隠せない。好きなんだ、詩のこと」
手を取って、優しく、強く握りながら言う。
……好き。好き。大好き。
何とか処理した脳内は、もうそれしか考えられない。
「私も好き。ずっと、ずっと大好きなの」
ずっと伝えたかったこと。怖くて伝えられなかった私の気持ち。
あの頃は一生言葉にしないと思っていた、好きの言葉。
「俺と、結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
「はい……!もちろんっ……!」
嬉しさで涙が溢れた。
恋が実るって、想像していたよりも何倍も何十倍も幸せなことだ。
「大好きだよ」
「私も。大好き」
心が通じ合ったその時、私たちを祝福するように桃色の大きな花火が打ち上がった。