電車に乗ってたどり着いたのは私の中学校がある土地だった。
「んー、懐かしいね」
見える木々も、信号機の音も間隔も、思い出を振り返るには十分過ぎるものだった。
「こっちこっち」
優太くんとこの街を歩くのは1年越しだ。
制服で歩いた道を私服で歩いていることがなんだか不思議。
しばらく歩いていくと、初めて優太くんと来たカフェに着いた。
「ここ、覚えてる?」
「もちろん。学校紹介作ってる時に来たよね」
私が好きになった、あの時に。
「詩がハシゴから落ちて学校でまとめきれなかったもんな」
「ねー、それは言わないでよ!恥ずかしいじゃん!」
「ごめんごめん」
そう笑いながら、あの時と同じアイスココアを啜っている。
そして私は、あの時と同じいちごミルクを果肉と共にゴクリと飲み込む。
「でも怪我してなくてよかったよ」
思い出して、安心した顔をして言った。
「それは優太くんが受け止めてくれたから」
「ちょうど近くにいたときでよかったよ。ペアワークの時いつも危なっかしいなって思ってたし」
「ひどっ」
言葉ではそう言っておきながら、私のこと心配して見て、助けてくれたことにまたキュンとしてしまう。
ひとしきり学校紹介の思い出を語っていると、ストローからズズっと無くなった合図が。
「そろそろ出るか」
「うん」
カフェをでたら、次は公園。夏ということもあり、20分くらい歩いただけなのに喉が渇いてしまう。
あの時は冬に差し掛かった秋だった。
散りかけだけど綺麗だった紅葉が、今は青々とした葉を付けている。
「なんか飲もっか。喉乾いたよね」
そう言って自販機で買ってくれたものはレモンティーと抹茶ラテ。
あの時と一緒だった。
夏休みの昼間なのに誰もいない公園は、蝉の声がよく聞こえる。
ブランコに座っていると、レモンティーだよねって手渡してくれる、私の大好きな味。
優太くんは私の好みを覚えてくれているのか、砂糖が入っているのもあるのに、わざわざ無糖の方を選んでくれていた。
ほとんど同じパッケージのそれは、意識して見ないと両方昔からある砂糖入りだと思ってしまうのに。
やっぱり、優太くんは私のことを分かってくれている。
「部活終わりよく寄ったよね、ここ」
疲れた日、嫌なことがあった日、嬉しいことがあった日。
優太くんの部も私の部も、終わる時間が同じぐらいだったみたいで、一緒に帰ることが多かった。
「顧問の愚痴とか聞いてもらってたなー、俺」
そうだった。顧問なら部活来いよが口癖だったなー。
ごもっともすぎて誰なのか聞いたら副担任で毎回大爆笑した覚えがある。
「優太くんが大きい大会の選手になれたよって一番に教えてくれたのもここだったよね」
「詩が失敗して泣いたのもな」
「もー!余計なことばっかり覚えてるんだから!」
さっきのカフェといい今といい、なんでそんな恥ずかしいことばかり覚えているんだろう。
楽しそうにケラケラと笑う優太くんは、何か思い出したかのように静かになった。
「うちの部、古臭かったんだよな」
「え、水分補給は甘えだ!とか?」
今どきそんな部活ないと思ってたんだけど。
そう思って聞いたらもちろんそんなブラックではなくて。
「恋愛禁止だったんだよね」
ほへー。確かに古臭いと言われれば古臭い。
好きな人居ても叶わないじゃん。青春台無し。
それでも続けられる人は、本当に部活に全力を注げる人なんだろうな。部活が青春!みたいな。
それはそれでかっこいいかも。
「だからバスケ部ってイケメン揃いなのに誰も彼女いなかったんだ」
今やっと分かった。
引退しても高校受験の勉強で結局恋人なんて作る時間もなかったんだろうな。
「そういうこと。まぁ、転校先は自由だったから彼女持ち結構いたけどね」
うわ、まじか。じゃあ優太くんも彼女とかいたのかな?
いやいや、いたらここには来ないか。来たとしてもその子とマッチングしたに決まってる。
「俺はいたことないよ。彼女」
私の顔を見てそう言う優太くんに、心を読まれたかのように言われる。
「そう、なの……?」
「うん。……もういい時間だし、帰ろっか」
2時間経ったか経ってないか。
まだ夕方に差し掛かる前だけど、早めに帰路に着くことになった。
帰り道は何故かお互いほとんど話さず、でものんびりとした時間が流れていく心地いい空間だった。
「んー、懐かしいね」
見える木々も、信号機の音も間隔も、思い出を振り返るには十分過ぎるものだった。
「こっちこっち」
優太くんとこの街を歩くのは1年越しだ。
制服で歩いた道を私服で歩いていることがなんだか不思議。
しばらく歩いていくと、初めて優太くんと来たカフェに着いた。
「ここ、覚えてる?」
「もちろん。学校紹介作ってる時に来たよね」
私が好きになった、あの時に。
「詩がハシゴから落ちて学校でまとめきれなかったもんな」
「ねー、それは言わないでよ!恥ずかしいじゃん!」
「ごめんごめん」
そう笑いながら、あの時と同じアイスココアを啜っている。
そして私は、あの時と同じいちごミルクを果肉と共にゴクリと飲み込む。
「でも怪我してなくてよかったよ」
思い出して、安心した顔をして言った。
「それは優太くんが受け止めてくれたから」
「ちょうど近くにいたときでよかったよ。ペアワークの時いつも危なっかしいなって思ってたし」
「ひどっ」
言葉ではそう言っておきながら、私のこと心配して見て、助けてくれたことにまたキュンとしてしまう。
ひとしきり学校紹介の思い出を語っていると、ストローからズズっと無くなった合図が。
「そろそろ出るか」
「うん」
カフェをでたら、次は公園。夏ということもあり、20分くらい歩いただけなのに喉が渇いてしまう。
あの時は冬に差し掛かった秋だった。
散りかけだけど綺麗だった紅葉が、今は青々とした葉を付けている。
「なんか飲もっか。喉乾いたよね」
そう言って自販機で買ってくれたものはレモンティーと抹茶ラテ。
あの時と一緒だった。
夏休みの昼間なのに誰もいない公園は、蝉の声がよく聞こえる。
ブランコに座っていると、レモンティーだよねって手渡してくれる、私の大好きな味。
優太くんは私の好みを覚えてくれているのか、砂糖が入っているのもあるのに、わざわざ無糖の方を選んでくれていた。
ほとんど同じパッケージのそれは、意識して見ないと両方昔からある砂糖入りだと思ってしまうのに。
やっぱり、優太くんは私のことを分かってくれている。
「部活終わりよく寄ったよね、ここ」
疲れた日、嫌なことがあった日、嬉しいことがあった日。
優太くんの部も私の部も、終わる時間が同じぐらいだったみたいで、一緒に帰ることが多かった。
「顧問の愚痴とか聞いてもらってたなー、俺」
そうだった。顧問なら部活来いよが口癖だったなー。
ごもっともすぎて誰なのか聞いたら副担任で毎回大爆笑した覚えがある。
「優太くんが大きい大会の選手になれたよって一番に教えてくれたのもここだったよね」
「詩が失敗して泣いたのもな」
「もー!余計なことばっかり覚えてるんだから!」
さっきのカフェといい今といい、なんでそんな恥ずかしいことばかり覚えているんだろう。
楽しそうにケラケラと笑う優太くんは、何か思い出したかのように静かになった。
「うちの部、古臭かったんだよな」
「え、水分補給は甘えだ!とか?」
今どきそんな部活ないと思ってたんだけど。
そう思って聞いたらもちろんそんなブラックではなくて。
「恋愛禁止だったんだよね」
ほへー。確かに古臭いと言われれば古臭い。
好きな人居ても叶わないじゃん。青春台無し。
それでも続けられる人は、本当に部活に全力を注げる人なんだろうな。部活が青春!みたいな。
それはそれでかっこいいかも。
「だからバスケ部ってイケメン揃いなのに誰も彼女いなかったんだ」
今やっと分かった。
引退しても高校受験の勉強で結局恋人なんて作る時間もなかったんだろうな。
「そういうこと。まぁ、転校先は自由だったから彼女持ち結構いたけどね」
うわ、まじか。じゃあ優太くんも彼女とかいたのかな?
いやいや、いたらここには来ないか。来たとしてもその子とマッチングしたに決まってる。
「俺はいたことないよ。彼女」
私の顔を見てそう言う優太くんに、心を読まれたかのように言われる。
「そう、なの……?」
「うん。……もういい時間だし、帰ろっか」
2時間経ったか経ってないか。
まだ夕方に差し掛かる前だけど、早めに帰路に着くことになった。
帰り道は何故かお互いほとんど話さず、でものんびりとした時間が流れていく心地いい空間だった。



