アイスココアとコーヒー

「おーい、詩?」
「え、あ、ごめん。びっくりしちゃって」
まさか、まさか再会できるなんて思っていなかった。
逢えたらいいなーとは思っていた。
でもそれは夢のまた夢で、本当に逢えるなんて思ってもみなかった。
本当に、夢みたい……。
「ちょちょ、なにしてんの」
信じられなくて、無意識のうちに頬をつねっていた。もちろん痛かった。それでも信じられないんだ。
「ちょっと、信じられないっていうか……。優太くん、元気だった?」
「うん。元気だよ。詩は?」
「元気だった。でもお別れを言えなかったの、ずっと後悔してた」
優太くんと隣の席になって、転校してしまうまで約5ヶ月。苗字呼びから名前呼びになるほど心を許せて仲良くなった、片想いの相手。
「また逢えたんだから、そんなこともう気にしなくていいよ」
「そう、だよね。なんか不思議な感じ」
「俺も。でも知ってる人いて安心した。俺の中学から来たの、俺1人だから」
ほっとしているその表情に、忘れていた、いや、封印していた好きの気持ちが溢れる。
かっこいい。なのにかわいい。
「私も、あの中学から来たの私だけなの。先生とか悲観的すぎて説得するの大変だった」
「え、俺のとこも。やっぱみんな反対するよな」
そういうものなのか。少し安心した。
「なんで詩は七海学園に来たの?」
え゛……。
優太くんへの恋心を忘れて恋するためとか?
言えないな、普通に。
将来の安定性とか?
言えないよ、言えるわけない。結婚出来てお金を貰えれば誰でもいいみたいだ。
「上下関係、めんどくさいの嫌だから。1期生しかいないって理想的だなーって」
少し悩んだ挙句、結局なんの捻りもない、志望動機のおまけの部分を口にした。
「へー、いいじゃん。詩っぽい」
相槌を打ちながら納得したように言う。
なんか、不服だなぁ。
「優太くんはなんでこの学校にしたの?」
「俺たちだけしか来れないって、ワクワクするだろ?そんな学校に通ってみたいって思ったんだ」
真面目で、それでもワクワクする心を忘れない。
かっこよくて真面目で、遊び心もある。なんなんだ。いい所しかないじゃん。
……好きだなぁ。やっぱり。
そう思わずには居られなかった。封印していた蓋を開けたらあっという間。
やっぱり私の王子様は、運命の人は。優太くんなんだなと確信した。