アイスココアとコーヒー

私と優太くんの出会いは中学2年、クラス替えの日だった。
まだ私は彼のことはただのクラスメイトの男子としか思っていなくて、毎日恋愛とは無縁の生活を送っていた。
そんな私の日々を一変させたのは数ヶ月に1度ある、定番イベント。席替え。
自分が引いたくじ番号を先生が黒板に書いた席図に書き込んでいく。
私の手元の番号は、24。
後ろの方がいいな。
みんなが願うことを私も同じように毎度の如く願う。
クラスメイトの歓喜の声や落胆した言葉が聞こえてくる中、まだ書かれていない窓側の最後の1列。
どっちから書く?前?後ろ?それとも真ん中?
ドクン、ドクンと鳴る心臓。神様に願うように握った両手に思わず力が入る。
先生が数字を書く。後ろから書いた。
……24だ。
ほっと、強ばった身体から力が抜けた。
全ての番号を書き終わった先生の指示で席を移動する。
その時隣の席になったのが優太くんだ。
「月原か。よろしく」
「こちらこそ。よろしくね、平片くん」
まだあまり仲良くない私たちの距離を縮めたのはペアワークだった。
班活動も多く、その班の中でも隣同士で活動することが多々あった。
その中でも学校紹介を作る、という内容の時だった。私が優太くんを好きになった瞬間は。
「月原と平片は図書室担当で」
振り分けられた場所に移動して作業を始める。
ここまではいつも通り。今までと何も変わらない。
事が起こったのは、色々な写真を撮りたくて、備え付けのハシゴに登った時だった。
「うわっ」
「ちょ、危なっ」
4段目あたりで足を踏み外してしまったのを、優太くんが受け止めてくれたのだ。
「大丈夫?」
「あ、うん……。ありがと」
死ぬかと思った。結構本気で。
「顔真っ青じゃん。座ってな?俺が撮るから」
吊り橋効果じゃないの?って思う人も少なくないだろう。
確かに、それもあるのかもしれない。現に落ちたことで心臓が飛び出るんじゃないかってくらいドキドキしていたから。
でも、そうじゃない。スラッとしているのにしっかり受け止めてくれる男らしさとか、顔色を見て気遣ってくれる優しさに恋に落ちてしまったんだ。