待ちに待った入学式の日。ドキドキしながら自分の部屋になる408号室の扉を開ける。
部屋の奥に人影が見えた。背が高そうな、スラッとした人。
この人が、私の運命の人......。
今後付き合ったりデートしたりするのかな、そう思うと一気に緊張がワクワクした気持ちを上回った。
「月原詩です!2月14日生まれです!よろしくお願いします!!」
気づいたらそう口走っていた。
言った後にサーっと血の気が引く。
何言ってるんだ、私。顔みて言うのが普通だろう。しかも誕生日なんて余計なことすぎる。
あー、初日から思いっきりやらかした。
恥ずかしくて俯きながら部屋の奥へと足を進めると、いた。今日から一緒に、世界一の結婚を目指すパートナーの人。
「あ、待って待って。月原さん。俺平片優太。よろしくね」
「え」
聞き覚えがあった。いや、忘れたくても頭の片隅に残っていた。
その優しそうな声も、名前も。
驚いて顔を上げると、優太くんだった。
中学2年の時、片想いしていた彼が私の目の前に立っていた。
「あ、やっぱり。久しぶりだね、詩」
「嘘、なんで……」
もう会えないと思っていた。叶わない恋だと思って諦めたのに。
私の運命の人は、優太くんみたいだ。