無口な担当医は、彼女だけを離さない。



日和を困らせるわけにもいかないし、もちろん私は大丈夫と言葉にした。


医者、しかも男の人か…。正直今すぐにでも帰りたいけれどそういうわけにはいかないんだろうし。



「栞麗ちゃん今日何時までなの?」

「あ、22時まで、です」

「もうすぐじゃん!終わったら一緒に飲むよね?」

「…あ、はい!じゃあ皆さん先に乾杯しちゃっててください!」



予想通りの展開に思わずため息が出る。男の人もいきなり下の名前で呼んでくるし完全に住む世界が違う人って感じ。


大丈夫。数時間お酒を飲むだけ。でも今日薬飲んでるし、お酒飲まない方がいいのかな。


仮にも医者の前なんだから体調悪いこと、バレないようにしないと。



「ごほっ…っは、ぁ」



咳が止まらない。ここまで体調が悪くなるのはいつ振りだろうか。


効いているかも分からない薬をまたいくつか飲んで、日和達の所へ行った。



「ごめんなさい、遅くなりました~」

「おー!きたきた!あ、生頼んどいちゃったけど栞麗ちゃん飲める人?」

「あ…はい!ありがとうございます」