無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「過去が何だよ…ほんとにお母さんがそう言ったのかよ。お前の親が嫌になったって」

「いって、ない…」

「死んだ人は答えてくれない。けどそれでお前が苦しむ必要はない、俺も海斗もそう言いたかった。なのにお前は勝手に抱え込んで…いなくなろうとすんなよ」



抱きしめる力が強い。離れようとしても絶対に離れられない。


…私は、許されていいんだろうか。


お母さんをたくさん傷つけて。それでも笑ってていいのかなってずっと思ってた。



「きっと自分を許せる日が必ず来る。でもお前が罪悪感を感じたままだったらそんな日は来ないだろ」

「う、ん…」

「じゃあ今は頑張って生きろ。お母さんの分までお前が生きるんだよ」



ずっと、私の時間は6年前のあの日から止まっていた。


ごめんねお母さん。こんな娘でごめん。酷いことばかり言う娘でごめんなさい。


お母さんの子で良かったって本当にに思ってる。大好きだったんだよ。


今まで下ばっかり向いててごめんね。でも決めたよ。


私頑張って生きるから、見ててねお母さん。


いつかお母さんのことを笑って思い出せる日が来るまで。私は流した涙にそう誓った。