無口な担当医は、彼女だけを離さない。



あ、柊さん笑ってる。


何気に笑ってる所を初めて見たかもしれない。


初対面の時のムスッとした顔からは考えられないくらいの笑顔。


思ったより笑うと目細くなるんだ、とかちょっと幼くてかわいいなとか思っていたら聴診が終わった。



「ん、やっぱちょっと喘息出てるから今日は薬飲んで早めに寝ること。…何」

「え?あ…っと。柊さん」

「何?」

「私…柊さんならもう怖くない、です。聴診も、検査とかも。だから安心?してください」

「…そ」



柊さんはそれだけ言って自分の部屋に戻っていってしまった。


あ、でも今の顔。


言葉はそっけなかったけど顔は嬉しそうだったの見逃さなかったからね。


私にもう怖くないって言われて少しでも嬉しいって思ってくれたのかな。


そうだったら、私も嬉しいな。