そこの医者が、本当に思い出したくもないほど最低な人間だった。
40代くらいの男の医者で診察のたびに看護師さんの隙を見て私の体を触ってくる。
施設の子供だと分かり、声を上げないと思ったのか知らないがその行動は3年間続いた。
もちろん最後まで施設の大人はこのことを信じてはくれなかったし、私自身も途中から諦めていた気もする。
この医者が病院へのトラウマが加速した一つの要因。
そしてそんな地獄のような3年間を過ごした私は晴れて大学生になった。
無事関東の国立大学に合格し、高校卒業と共に上京。
施設での暮らしからは一変、1人暮らしは想像以上に快適だった。
大学も奨学金を借りながらの生活だし常にカツカツだけど、精神的にすごく楽。
静かに過ごせる。それだけで幸せだと思えた。