無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「なんで俺?いやめちゃくちゃ嬉しいけど、俺でいいの?」

「ほら、成人式の時とか大学の卒業式の時に子供から親に手紙渡すことあるじゃん。それで…世那くんには色々助けてもらったし、ありがとうって意味で…」

「まじか…俺手紙とかもらったの初めてなんだけど…」

「いらないならいいけど」

「誰もいらないなんて言ってない。ねぇ読んでいい?」



あげた理由を本人に話すのも恥ずかしかったのに目の前で読みだそうとした世那くんを私は全力で止める。


せめて私のいないところで読んで!というと仕方なさそうに自分の部屋に手紙を持っていった。


普段世那くん前にしたら絶対に言えないようなことまで書いてしまったから本当に恥ずかしい。


今場所は違えど手紙を読んでくれていると思うとそわそわしてリビング中を歩き回ってしまう。


私がそわそわしていること約10分。


やけに長いなと思い世那くんの部屋をそっと覗く。



「…まだ?」

「ん?今5週目」

「何してんの⁈こっちはずっとそわそわして過ごしてたのに!」



やはりとっくに読み終わっていた世那くん。


恥ずかしがって手紙を取ろうとする私を意地悪そうな笑顔で面白がっている。


悔しい。やっぱり私らしくない素直な文章なんか書かなければよかった。



「もうやだやっぱり渡さなければよかった…」

「嘘嘘ごめん。嬉しかったって」