無口な担当医は、彼女だけを離さない。



***

「早かったな」

「おぉ世那くん…ただいま」



家に帰るとリビングでパソコンを開いていた世那くん。


あまりにも静かだったから気が付かなくてまたかわいくない反応をしてしまった。



「流石真面目学科。まぁその方が俺も安心だけど」

「最後までお酒強い人いなかったからね~、寝てる人いっぱいだった」



目を離した隙に日和も寝ちゃっててなんとか家に送っていったところだし。


最初から最後までみんな起きていられる飲み会ってなかったかも。それはそれでもはや面白い。


でもみんなと話して飲んでやっと卒業の実感が湧いてきたというか。


あぁもう1ヶ月後には自分もみんなも学生じゃないんだなーと。


式では一滴も出なかった涙が出てしまったりで。思わず卒業したくないなと呟いてしまった。



「なんでそこずっと突っ立ってんの。こっちおいでよ」



私は鞄から1つの封筒と取り出して世那くんの隣に座った。


もちろん世那くんもそれには気づいていて、不思議そうな顔で私を見ている。



「え、何何怖いんだけど」

「これ。私から世那くんに」

「は、え?これ手紙?」



私から世那くんの手に渡った白い1つの封筒。


まさか手紙だと思わなかったのか世那くんは目を丸くして手紙を見ていた。


私が自分から誰かに手紙を渡したのなんか初めてで、こんなにも恥ずかしいものなのかと思い知る。


確かに手紙を書いている時から多少はずかしかったけれどそんなものとは比にならない。