人生で22回目の春を迎えた。


凍り付くほど寒かった季節もいつしか終わり、春の暖かさが私達を包む。


春の匂いで思い出すのは中高の卒業式。


自分の周りにいる人や環境が変わっただけで世界はいい意味でも悪い意味でも一変することを教えてくれた。


そして今日、私の大学生活が終わろうとしている。



「栞麗!疾風が写真撮ってくれるって!」

「はーい今行くよ!ごめん世那くんこれ…」

「持ってるから行ってこい」

「…ありがと」



今は無事に式が終わって大学の校舎の前で写真を撮るところ。


式自体は結構離れたホールで行われたんだけど今日で最後かと思うとやっぱり戻ってきてしまった。


4年間丸々通った大学に明日から一切通わなくなるって本当に不思議な感じ。まだ実感が湧いていない。



「先輩もうちょい寄って!あ、そこ!はい撮りまーす。はいチーズ。…もっかい撮りますね!」

「ねぇやばい泣いちゃうんだけどタイミング最悪」

「写真撮り終わるまでは我慢しよ⁈わーっ!日和泣いてるごめん疾風くんストップ!」



なぜか式の途中ではなく写真を撮る段階で泣き始める日和に一同爆笑。


本人曰く急に実感が湧いてきて泣いちゃったと言っていた。何とも日和らしい言葉…。


でもそんな日和も就職は一発で第一希望の一般企業に内定を決めていた。いざという時に強いのも日和らしい。



「ごめん疾風、多分もう大丈夫…」

「いや止まってないから!まぁ1枚は撮れたしこれでどうですか?」

「うん大丈夫!日和は確認してないけど多分大丈夫!」