無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「あ…line、返せなくてごめんね…」

「返信してほしくて送ってるわけじゃないから。気にしなくていい」

「あり、がと…」

「てかもう喋んなくていいから。しんどいだろうし」

「ごめ…ん」

「だからいいっ…」

「この3週間くらい…世那くんのこと、ほおっておいちゃ、った…っごほ、ぅ」

「まじで今日は喋んないで。熱下がったらいくらでも聞くから…お願い」



世那くんがあまりにも心配そうな顔で言うから流石に口を閉じた。


でもこうやって2人の時間があるのすら久しぶりすぎて世那くんに話したいこととか謝りたいこともたくさんある。


この3週間くらい、本当に私はバイトと長野の往復しかしてなかった。


その間には年末年始もあったのに私は関係なくバイトにも長野にも行ってしまっていたのだ。


毎週お父さんの顔を見に行く度に弱っていくのを感じて更に焦ってしまったんだと思う。


どうしてもお父さんを1人で逝かせたくなかった私の意地でしかなかったけれど。


だから私は自分の体の限界も分からずに動き回ってしまった。


正直最後の方は精神的にも肉体的にも疲労が溜まってきてお父さんにもそれが伝わってしまっていたと思う。


でも私は喋れなくなるまで弱ってしまったお父さんに甘えて長野に居続けた。


でも後悔はない。お父さんの最期を見ることができて良かったと思う。