無口な担当医は、彼女だけを離さない。



***

「栞麗、起きた?」

「…あ、れ…世那く、おかえり…」



知らぬ間に眠ってしまったみたいだ。


目を覚ますと横には世那くんがいて手を握ってくれている。


少し体を起こそうとするとぐわんと頭が揺れて思わず目をつぶった。



「まだ起き上がんなくていいから。体、だるくない?さっき熱計ったら38度あった」

「熱…嘘。気づかなかった…」



言われてみれば確かに体もだるいし頭痛も酷い。完全に熱だ。


帰ってきた時はここまで酷くなかったのに…。


目が覚めた途端激しい体調不良に見舞われるなんて最悪だ。



「痛っ…」

「薬飲むか。ちょっと待って持ってくる」



世那くんが素早く持ってきてくれた薬を私は無理矢理体に流し込む。


目を開ければ常に視界が揺れていて気持ち悪い。


心なしか喘息の症状も出てる気がするし久しぶりに結構しんどいかもしれない。



「ちょっと疲れたんだよ。きっと」



世那くんはそう言って優しく頭を撫でてくれる。


体調を崩してる時に優しい言葉をかけられるとだめなんだよな…弱っててすぐ泣きそうになる。


でも泣いたりしたら世那くんも困っちゃうから泣かない。仕事帰りなのに家でも看病してくれてるだけで大変なんだから。